2010年08月28日

エイズウイルス発見物語 

1982年、モンタニエはエイズの病原体がレトロウイルスではないかとする推測を伝えられており、彼はこの見方には十分根拠があると考えるようになった。

そこで、1983年1月3日、彼は、患者のリンパ節と血液を受け取る。
リンパ球を取り出し、培養を始めた。

培養から10日以上が過ぎた1月15日、初めて逆転写酵素が見つかった。
ここで彼らは、自分たちが、世界で初めてエイズの病原体を手にしたのだという確信を抱く。


ところで……。

エイズは1980年代に初めて医学的に報告された。突然の流行と見えたこの現象から当時はアメリカ軍関係の研究所が遺伝子操作により、致死的を開発、それをCIAがアフリカにばらまいととする噂が流布した。

だが、エイズは遺伝子操作技術が開発された以前の1950年代には水面下で流行が始まっていた。
59年に凍結保存されたアメリカ人の血清から後の検査でHIVが発見された。
60年代にはアフリカの労働者の間でエイズの特徴であるカボシ肉腫が流行した記録も残っている。

HIVの起源はチンパンジーなどの類人猿に感染するSIVというウイルスと推測されている。

SIVはアフリカで捕獲されたチンパンジーから人間に感染したと推測されている。
そして、SIVが人間社会に感染が拡大するうちにHIVに変化したのだろう。

最初のHIVは20世紀初頭に生まれて勢力を広め、ついに1980年代にパンデミックが始まったと考えられている。


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2010年08月16日

科学は爆発だ!(文字通り) (4)

同性愛の男性に流行している「正体不明の奇病」について、最初の報告が行われた1981年のことであった。
カリフォルニア大学の若き医師マイケル・ゴットリーブはこの年、奇妙な症状を持つ男性患者を紹介された。

33歳のこの患者はひどくやせ細り、ニューモシスティス肺炎(かつての7、カリニ肺炎と呼ばれた)という極めて珍しい病気にかかっていた。
この病気は免疫力が非常に低下したときにしか発病しない。

ゴッドリーブはさらに、同性愛者の若い男性で同じように免疫の低下している患者を続けざまに4人も診察した。
新しい病気の出現を疑った彼は、論文を作成して、医学誌に送るとともにCDC(アメリカ疾病対策センター)にも送った。

これは1981年6月に掲載された。

彼の論文がCDCの広報誌に載った翌月、CDCの注意を喚起する別の論文が発表された。
今度の報告は、ニューヨークでわずか3か月間に26人の男性がカボジ肉腫というがんを発症したというものだった。
これまた、免疫の衰えた高齢者でしか見つかっていなかったまれな病気である。

最初は奇妙な免疫不全の患者はいずれも同性愛者か両性愛の男性であったため、当初、「ゲイ関連免疫不全症」などど呼ばれた。

さらに調査の結果、同性愛者だけでなく、。血液製剤を用いていた血友病患者、発症者の女性パートナー、さらには麻薬常用者からも奇病の患者が見つかった。

どうやらこの疾病は未知の病原体による感染症であり、性交渉や血液を通じて感染するらしいことが明らかになった。
その病原体は、血液製剤をつくる際に異物をろ過する際に異物をろ過するためのフィルターも通過したことから、きわめて、微小なもの、おそらくウィルスではないかと推測された。

こうして新しい奇病は1982年末にエイズ(AIDS:Acquired Immune Deficiency Syndrome)と名付けられた。

同じ時期、フランスのパスツール研究所のリュック・モンタニエは、ある病院のウイルス検査医からリンパ腫を発症した同性愛者がウイルスをもつかどうか調べてほしいと依頼された。


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2010年08月01日

科学は爆発だ!(文字通り) (3)

*リュック・モンタニエ

2008年度ノーベル生理学医学賞

エイズ(免疫不全症候群)の病原ウイルスHIVの発見をめぐる騒動は、ついにはアメリカとフランスの政治決着を要する問題にまで発展した。

そして最終的にHIV発見者の権利を認められ、2008年のノーベル賞を共同受賞したのは2人のフランス人リュック・モンタニエとフランソワーズ・バレ-シヌシであった。

これは科学的発見をめぐる研究者たちの競争と確執がたどった道筋を、ノーベル委員会による研究業績の認定の在り様を追うひとつのドラマだ。

モンタニエらが最終的にHIV発見者と認められるまでには20年に及ぶ紆余曲折があった。

モニタニエらと競っていたのは、アメリカのロバート・ギャロだった。


『正体不明の奇病』について最初の報告が行われたのは1981年のことだった。




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